我が国の茶産業は低迷している。お茶の国内生産量の低下、その要因の一つが茶の単価の低下。農水省のデータによると、荒茶の平均単価は緑茶飲料需要の伸びに 呼応するように平成16年をピークに下がってきている。ペットボトルなどの緑茶飲料の原料は安価な中国産がほとんどであり、その影響を受けたと思われる。お茶の加工前の原料荒茶の価格が、生産者が生産を維持するのに必要な再生産価格は2,000円と試算されているのだが、農水省のHP掲載の資料:全国茶生産団体連合会「茶生産流通実 態調査事業」の令和元年産の普通煎茶価格は1,200円/kgまで下がっている。
こうした中でも、我が国特有な抹茶については健闘している。抹茶の生産量は抹茶ブームにより、京都府生産量ではH23年 800トン H24年 900トン H25年 1,180トンと増加して煎茶を抜いてH27年には 1,405トン(京都茶業研究所)となった。
(図5参照)抹茶を作る際には、葉から葉脈など硬い部分を取り除くことが必要で、取り除かれた葉脈などは茎茶(薄棒)となるが、その需要は少なくほとんどが捨てられている。
(図6参照)当社が茎茶の成分を分析したところ、テアニンが多く含まれている事が判った。
(図7参照)そこで当社は茎茶を原料とした生産の研究開発に取り組み、テアニンを効率よく抽出する技術を開発し特許出願した。また、現在健康食品市場のテアニン製品はほとんどが合成テアニンであることより、茶本来の自然が生産したL-テアニン製品の市場への供給の必要性を考え、「茶テアニン」および「GABA入り茶テアニン」を製品化し、発売した。
原料となる茎茶を産地から購入することで、抹茶に限られるが我が国の茶産業に収益性で貢献することが出来る可能性も感じている。抹茶の増産に伴って副産物である茎茶はH27年京都府だけで約280トンも生じている計算であるから、茶加工業者にとって廃棄副産物が新たな価値生むことになる。